タクシーを相乗りした時の料金について

 みなさんこんにちは。

 私事ですが、昨夜渋谷で終電を逃したため、タクシーで帰宅しました。

 

 その時の話です。

 

 私はケチなので料金を少しでも安くしようと相乗りを決意し、タクシーを待っている人に片っ端から話しかけてみました。すると運よく同じ方面に帰る人が見つかり、1人で乗った時の半分くらいの料金で寮に帰ることができました。

 

 

 

 

 

 このタクシーの相乗りですが、帰宅後2つの疑問が浮かびました。

 

 

 まず1つ目がこの行為は合法なのかということです。

 これについては私は弁護士でないので詳しくはわかりませんが、乗客同士の話し合いのもと相乗りをした場合については合法で、タクシーの運転手側が主導となって相乗りをさせた場合は違法みたいです。ソースはWikipediaです。

相乗り - Wikipedia

 

 また、最近はこの後者の場合についても合法化しようという動きもあるみたいです。

www.mc-law.jp

 

 

 いずれにせよ、客同士での話し合いのもとでなら合法らしくて安心しました。違法だったらこんな記事を書かないんですけどね。

 

 

 

 

 2つ目は各々がいくら支払うのかという点です。

 1人で乗る時より料金が安くなるのは間違いありませんが、相乗りによって得た利益をどのように分配すれば良いのでしょうか。今回私が最初に降りたのですが、私は降りた時点でメーターに表示されていた額の半分を支払いました。この時私が支払った料金は適当だったのでしょうか、それとも払い過ぎやケチり過ぎだったのでしょうか。

 

 

 

 

 

 実はこの状況、ゲーム理論の枠組みを用いることによって、ある程度妥当性のある配分を提案することができるのです。こういう状況における「良い」解というのは当然1つではないんですが、今回はその中の1つであるシャープレイ値というものを紹介しようと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 説明のために以下の問題を考えましょう。 

 

 AさんとBさんとCさんはそれぞれ同じタクシーで家に帰ろうとしている。Aさんが1人で帰る場合は1,200円、Bさんが1人で帰る場合は2,000円、Cさんが1人で帰る場合は3,000円の料金がかかる。また、現在地、Aさんの家、Bさんの家、Cさんの家は同一直線上にあることが既にわかっている。

 この時、3人はそれぞれいくら支払えばいいのだろうか。

 

 

 仮に、この3人が、A→B→Cの順番でタクシー乗り場に来たとしましょう。最後に来たCさんはきっとこう言うはずです。

 「俺が乗っても君らの料金は変わらないんだから、俺が乗ることによって増えた1,000円しか払わん」

 

 Cさんが来る前のBさんもAさんにこう言っていたはずです。

 「俺が乗っても君の料金は変わらないんだから俺は800円払えばいいよね」

 

 

 一方、C→A→Bの順番だったらどうでしょう。この場合、AさんとBさんは口を揃えてこう言うはずです。

 「俺たちタダでいいじゃん」

 

 

 

 人間は利己的です。

 

 

 

 

 このようにタクシー乗り場に来る順番で各々が主張する額が変わります。どの状況における誰の発言を採用すればいいのでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここで、シャープレイさんと言う人が、この相乗りグループに入って来る順番は等確率で起こるだろうとし、各々の支払額の期待値を考えました。

 

 

 

 

 

 今回の問題では、入って来る順番は以下の6(=3!)通りになります。

 A→B→C、A→C→B、B→A→C、B→C→A、C→A→B、C→B→A

 よって、これらがそれぞれ1/6の確率で発生すると考えます。それぞれの順番における各々の主張する支払額は以下の通りになります。

 

 

1.A→B→Cのとき

A...1,200円,B...800円,C...1,000円

 

2.A→C→Bのとき

A...1,200円,B...0円,C...1,800円

 

3.B→A→Cのとき

A...0円,B...2,000円,C...1,000円

 

4.B→C→Aのとき

A...0円,B...2,000円,C...1,000円

 

5.C→A→Bのとき

A...0円,B...0円,C...3,000円

 

6.C→B→Aのとき

A...0円,B...0円,C...3,000円

 

 

 支払額の期待値を取る(各々の支払額を足して6で割る)と、以下の額になります。

A...400円

B...800円

C...1,800円

 

 

 

 長々と計算して来ましたが、最後に求まったこの値を、この状況におけるシャープレイ値Value)と呼びます。

 シャープレイ値が本当に正義に適っているのかは個人の考えによりますが、ゲーム理論的にはいくつかの良い性質を持っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 正直、計算しづらいと思った方、多いんじゃないでしょうか。もし5人で同じ計算をしようとしたら順列は120通りになるので、タクシーに乗っている間ではとても計算しきれません。

 でも安心してください。楽に計算する方法があるんです。

 

 

 

 

 

 

 先ほどと同じ問題を考えましょう。

 

 AさんとBさんとCさんはそれぞれ同じタクシーで家に帰ろうとしている。Aさんが1人で帰る場合は1,200円、Bさんが1人で帰る場合は2,000円、Cさんが1人で帰る場合は3,000円の料金がかかる。また、現在地、Aさんの家、Bさんの家、Cさんの家は同一直線上にあることが既にわかっている。

 この時、3人はそれぞれいくら支払えばいいのだろうか。

 

 

 まず最初に3人で1,200円分タクシーに乗るので、AさんBさんCさんはそれぞれ400円ずつ払います。次にAさんが降りてから、BさんとCさんでBさんの家まで800(=2,000-1,200)円分タクシーに乗ります。よってBさんとCさんは400円ずつ払います。最後にCさんが1人で1,000(=3,000-2,000)円分タクシーに乗るのでその額を支払います。

 

 

 ここで、各々の支払額を合計してみましょう。

A...400円

B...800円

C...1,800円

 

 

 

 

 先ほどのシャープレイ値と一致したじゃありませんか。タクシー相乗りの時のシャープレイ値は、こうして簡単に求めることができます。

 

 

 

 

 

 

 タクシーに相乗りした時に、参考にしてくれると良いなと思います。

 

 他にも良い性質を満たす配分というものはいくつか提案されていますが、今回はその中の1つであるシャープレイ値を紹介しました。長い間読んでいただきありがとうございました。詳しく知りたい方は以下の論文をお読み下さい。

"A value for n-person games" LS Shapley - Contributions to the Theory of Games,1953

 

 

 

 

 

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 ここまで読んでくれた方ならお気づきかと思いますが、冒頭で私が支払った額は実は2人の場合のシャープレイ値だったわけです。